城に関するＴＶ番組（Vol.5）

城ブームを支える最近のＴV番組を紹介します。NHKの「あなたも絶対行きたくなる！日本『最強の城』スペシャル」、NHKBSプレミアムの「絶対行きたくなる！ニッポン不滅の名城」はシリーズ化されており、全国の城好きの人たちに様々な発信を続けています。我らが“城マスター”千田嘉博先生、実に良い仕事をしていますよ。

１． ＴＶの影響

現在の“城ブーム”を支える一つの原動力になっているのがＴＶ番組である。後に述べるように、今ではゴールデンタイムで城に関するＴＶ番組が放映されるようになった。城好きを公言する有名人の方^＊1も多く、日々、積極的にその発信を行っている。マニアたちにとっての“憧れの存在”から、一般の方々にとっての“身近な存在”へ。ＴＶの影響によって、もはや「城」は市民権を得たと言ってもよいのではないだろうか。

＊1  　誰もが認める城好きとして有名なのが、落語家の春風亭昇太師匠である。城の魅力を語らせたら、落語よりも話が長くなることも（笑）。これまでに巡った城の数は、なんと600を超えるとか（たびよみ「“山城”愛あふれる 春風亭昇太 お城めぐりのすすめ＜前編＞」）。城に関する本も執筆されておられ（『城あるきのススメ』（小学館、2011年3月11日）、まさに城ブームの牽引役として活躍されている。

２．ＢＳ朝日の功績

昨今の“城ブーム”が到来する以前から、「城」に関するＴＶ番組作りで実にいい仕事をしていたのがＢＳ朝日である。2010年～2011年にかけ、歌舞伎役者の坂東三津五郎氏が城案内役を務める「日本の城ミステリー紀行」が放映された。「城」をテーマにし、それにまつわる歴史、武将たちや城を取り巻くドラマ・ミステリーを深掘りしながら、史料の解説、再現映像、ＣＧなどがふんだんに盛り込まれた、マニア垂涎（すいぜん）の番組であったと言える^＊2。

「日本の城ミステリー紀行」を継承したのが、俳優の篠井英介氏と大谷亮介氏を城案内人とする「歴史ミステリー 日本の城見聞録」である。2015年～2017年にかけて55回シリーズで放映されている^＊3。番組としてのクォリティーの高さを維持しつつ、篠井氏と大谷氏があたかも敵方の武将に扮して「城に攻め入る」（だが様々な城の仕掛けによってやられてしまう）という構成が非常に面白い。

番組構成・内容、放映の時間帯（22:00～22:54）からしても、番組がターゲットにしていたのは玄人の城好きの方々たちと言ってよいであろう。

＊2     残念ながら、2015年（平成27年）2月、坂東三津五郎氏はご逝去されている。今にして思えば、坂東氏は城好き有名人の元祖的な存在だったと言えるのかもしれない。

＊3　  2020年7月5日には2時間スペシャル「天下無双の名城 江戸城 徳川家に見る！災禍を乗り越えた町作り」が放映されている。

３．「お城総選挙」

非常にビックリさせられたのが、2019年3月23日（土）、18時30分からテレビ朝日系列で放映された「お城好き１万人がガチで投票！お城総選挙」である。番組ＭＣが爆笑問題、ゴールデンタイムにかけて3時間半に及んだＴＶ初の“禁断の企画”として、大衆へアピールする格好の城番組となった^＊4。

お城好き、歴史好き、国内旅行に行ったらお城に行く人１万人を対象にアンケートを実施、好きなお城ベスト３を答えてもらい、１位を５ポイント、２位を３ポイント、３位を１ポイントとして集計し、ポイントが多い順にランキングを作成したというもの。番組冒頭では、日本に存在する約4000のお城・城跡を対象にしているという紹介が行われており、実に1／4000の頂点を目指す戦いが繰り広げられたわけである。

総選挙の結果を振り返ってみよう。ランキングは30位まであるが、ここではベスト10を紹介したい。

言わずと知れた全国の名城ばかり。各都道府県から満遍なく名城が選出されている結果に納得感があるし、またVol.1で取り上げた地震によって大きなダメージを受けた熊本城が上位になったことも非常に嬉しい。その一方、番組放映後の2019年10月31日、上位に選出されていた首里城の正殿を含む建物8棟が焼損してしまったことは大変傷ましく、非常に残念なことである。

それにしても…、頂点に立った姫路城の強さは群を抜いている（笑）。その圧倒的な強さは揺るがないかもしれないが、是非第２回目の総選挙の番組を見てみたい。

＊4   テレビ朝日系列では、これまで数多くの“総選挙シリーズ”が放映されている。第1回目となった「麺チェーン店総選挙」（2016年5月26日）に続き、「お菓子総選挙」（2016年11月27日）、「プロ野球総選挙」（2018年1月8日）、「高校野球総選挙」（2018年8月5日）、「戦国武将総選挙」（2019年12月28日）など、実にバリエーションに富んだものになっている。恐らく、「お城総選挙」を見た多くの視聴者たちは「戦国武将総選挙」も視聴したことであろう。ちなみに、総選挙で第1位となった戦国武将は「織田信長」である。安土城によって日本の城に革命がもたらされたことを考えれば、城マニアにとってもさもありなんという結果であろうか。

４．日本「最強の城」スペシャル

ＮＨＫも黙っていない。地上波で「あなたも絶対行きたくなる！日本『最強の城』スペシャル」をシリーズ化している。記念すべき第１回目の放映日は2018年6月30日。公共の電波を使って「城には全然詳しくない」と自認する恵俊彰氏とＮＨＫの赤木野々花アナウンサーが司会を務め、芸能界屈指の城好きの方々^＊5がゲストに呼ばれる。「フォトジェニックな城」「トリック満載の城」「トレッキングに最高の城」「守りの仕掛けがユニークな城」「デジタル技術でよみがえった城」「天守が映える城」「絶景天空の城」「アウトドアにおススメの城」「デジタルで楽しむ英雄の城」「元気が出る城」「ミステリアスな城」等々、毎回部門ごとに魅力のある城をピックアップした上で、ゲスト同士が話し合って『最強の城』＝「最も魅力的な城」を決めるという番組構成になっている。ゴールデンタイムに１時間の尺、家族皆で楽しめるのも良い。

番組でこれまでに選ばれた『最強の城』を振り返ってみよう。

ゲストの方々は、毎回、『最強の城』を選ぶのに非常に頭を悩ませる。頭を抱えている姿も面白いが、各部門で選ばれた城に対して繰り広げられる熱～いトーク（“城スピリット”）もなかなか興味深いものがある。『最強の城』が、これから城めぐりを始める方が楽しめる城といった視点で選ばれているのにも好感が持てる。城ブームの時流に乗って、まだしばらく続きそうな番組である。

＊5   俳優・タレントの石原良純氏、タレントの小日向えりさん、俳優の高橋英樹氏、落語家の春風亭昇太師匠、タレントの村井美樹さんなど、いずれも自称“城好き”の強者（つわもの）が集合している。高橋英樹氏は第１回からの不動のレギュラーである。我らが“城マスター”、千田嘉博先生が解説役を務めている。

５．絶対行きたくなる！ニッポン不滅の名城

ＮＨＫＢＳプレミアム、ＮＨＫＢＳ４Ｋでシリーズ化されている城番組である。全国から選りすぐりの名城の知られざる魅力と秘められた謎を、最先端の研究に基づき徹底的に解明するというもので、案内役に“城マスター”千田嘉博先生、そして小和田哲男先生という役者を揃えている（👉Vol.4）。金曜日の夜22時からの放映、時間帯からすると城好きの中・上級者をターゲットにした番組と言えるだろう。

これまで番組で取り上げられた名城は、①名古屋城（2019年2月27日）、②江戸城（2019年7月27日）、③明智光秀の城…坂本城、福知山城（2019年12月28日）、④大阪城（2020年4月3日）、⑤小田原城（2020年9月4日）、⑥松山城（2020年10月3日）、⑦一乗谷城（2020年12月4日）、➇五稜郭（2021年1月8日）、⑨戦国のヒーロー 真田の城…上田城、松代城（2021年2月5日）、⑩天下人たちの天守スペシャル…安土城、大阪城、江戸城（2021年3月5日）、⑪岡山城（2021年4月2日）、⑫彦根城（2021年7月2日）である。前記４の「日本最強の城スペシャル」を見て城に興味を持った方々がさらにこの番組で深く城のことを学ぶ。両番組は上手にシンクロしているような気がする。

戦国ヒーロー真田の城の代表といえる「上田城」

千田嘉博先生が嬉々とした表情で名城を闊歩する姿は、番組の一番の売りであろう。見ているこちらが思わず城へ出かけたくなる、先生の笑顔にはそんな魅力がある。

城番組に関わっているディレクターやプロデューサーは城好きに間違いない。あくまでも仮説であるが、結構自信がある（笑）。

👉 Vol.6 「城マイスター」

【RP】デラックス版 安土城 プラモデル [童友社] [ プラモデル 城 日本 安土城 グッズ ]

【RP】デラックス版 安土城 プラモデル [童友社] [ プラモデル 城 日本 安土城 グッズ ] 楽天で購入

【RP】デラックス版 彦根城 プラモデル[童友社] [プラモデル 城 日本 彦根城 グッズ ]

【RP】デラックス版 彦根城 プラモデル[童友社] [プラモデル 城 日本 彦根城 グッズ ] 楽天で購入