城下町を歩く ~岩村城編~(Vol.23)

城めぐりの楽しみ方は人それぞれ。城郭や遺構めぐりがついついメインになってしまいまちだが、時間に余裕があるようであれば、是非とも城下町を散策してみたいところである。今回は第一回目として、岐阜県恵那市の岩村城下をブラブラしてみた。

1.城下町の散策

「日本百名城」巡り(Vol.4)に精力をつぎ込んでいた時には、とにかく時間との戦いであったように思う。城巡りの行程を組んだら、ただただそれを愚直に遂行するのみ。もちろん、一城一城と丁寧に向き合うように心がけてはいたものの、抑えるべきポイントを見落としていたり、老舗を訪れたり、周辺の城下町をゆっくり散策をする余裕はなかったように感じる。今思えば、実にもったいないことをしていた。

現在の自分の城への向き合い方は、百名城の記録(写真)と記憶をしっかり残すための、再度の“聖地巡礼”である(“優秀な手下”(Vol.21) – 城の魅力を伝える)。時間に余裕のある旅であることから、この機会に城下町の風情を堪能することにしよう。第1回目の城下町散策の場所として選んだのが、岐阜県恵那市にある「岩村城」である。気の置けない友人と二人旅に出かけた。

 

2.岩村城

「岩村城」のある地点は標高717メートル。日本一高い場所に築かれた城として、奈良県の高取城、岡山県の備中松山城とともに、日本三大山城の一つに数えられる。その歴史は古く、築城は鎌倉幕府初期の頃に遡る。戦国時代の後半になると、このエリアにおいて織田・徳川方と武田方による激しい抗争が行われるようになったため、戦略的にも重要な拠点となっていった。その騒動の最中に、織田信長の叔母にあたる、おんな城主「おつや」が善政を敷き、最後まで領民を守ったというエピソードが残されていることから、「女城主の里」とも呼ばれている。徳川の世になると、松平家乗が城主となって、岩村藩2万石が成立するに至る。

「岩村城」の魅力は、山城でありながら遺構の保存状態が良く、立派な石垣が残されている点であろう。総延長は1.7キロメートルに及ぶと言われている。特に、「六段壁」は圧巻である。石垣が六段積みになっていることからそう呼ばれており、当初は一段のみの高石垣であったが、崩落を防ぐために前面に補強の石垣を積むことを繰り返した結果、現在のような姿になったと言われている。まさに技術と知恵の結晶と言ってよいものであろう。「岩村城」最大の見どころである。

 

3.城下町を歩いてみる

「岩村城」を降りていくと、目の前に城下町が見えてくる。岩村城下町である。岐阜県では高山、白川郷に次いで、3番目の「重要伝統的建造物群保存地区」として選定されたそうだ。全長約1.3キロメートルにわたって歴史的・文化的な街並み・たたずまいが実によく保存されている。個人的には、その通りの「抜け」感が大変心地よいものである。当時の面影を残す旧家、古い建物を利用して営業を続けている商店や信用金庫、五平餅が店頭に並ぶお土産屋さんなど、通りを散策していても全く飽きることがない。あたかも、過去と現在の間を絶えずタイムスリップしているような感覚になってくる(笑)。

一軒の古い和洋菓子店に立ち寄ってみた。カステラが名物の「かめや菓子舗」さんである。寛永年間に岩村藩の御殿医が、藩命により医学を学ぶ長崎滞在中にオランダ人からその製法を教わり、岩村に帰国後、町民に伝授したという言い伝えが残っており、「かめや菓子舗」さんではその伝統を受け継ぎ、製法・技術を一切変えることなく、一本一本手焼きで焼き上げているそうだ。お土産として購入してみた。素朴な、そしてどことなく懐かしい味である。恵那地方は栗も有名であり、秋には栗菓子も楽しめるとのこと。岩村城下町に出かけた際には、是非立ち寄ってみてはいかがだろうか。

 

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